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なぜウルトラなのか


手前左)ウルトラ・ホワイト Pottスープマグカップ&5.5寸リム皿

奥右) ウルトラ・ブルー Pottスープマグカップ&5.5寸リム皿

 今さらですが、なぜこのシリーズはウルトラという名前がついているのかをご説明致します。

 6年ほど前になります。藤山が長年お世話になっている釉薬屋さん(長江さんという方)が、゛この薬で試験してみて”とサンプルを持って来られたのが始まりです。焼き上がったものは、今までに見たことがない、大変味のあるマット調の焼き物でした。長江さんに、「これは何という釉薬ですか?」と尋ねたら、「N34。もう薬の名前をつけるのが面倒くさい」と仰ったのです。釉薬一筋40年の長江(Nagae)さんが、34番目に調合をしたという意味だそうです。34種類もオリジナルの薬を生み出して来られたのだから、面倒なのも分かるなと思っておりました。

 そんな時、藤山で働いてくれていたアルバイトの子がこれを聞いて、「N34って、なんかウルトラマンみたい。」と発言したのです。ウルトラマンはM78星雲から地球にやってきたという設定で、それに語呂が似ているからだそうです。「それいいかも。ありきたりな名前より、いっそウルトラにしてみる?」という事で話がまとまり、この釉薬は「ウルトラ」に決まってしまったのです。「ultra」は「超」という意味なので、たいそうな名前になってしまいましたが、こうした経緯があります。決して゛釉薬を超越した釉薬だから”、という意味があってウルトラではありませんので、よろしくお願い致します。

 

 しかし、このウルトラですが、極めて焼成が難しくて謎めいた釉薬です。業界では温度幅が狭いとも言いますが、要はピンポイントで窯の昇温を止めないと綺麗に発色しないのです。焼き過ぎると普通のガラス質の表情になり、逆に焼き足りないと釉薬が溶け残ったような物足りない表情になります。恥ずかしい話ですが、これまでに失敗を重ねて参りました。ようやく、ここ2年くらいで荷口になるようになりましたが、実は未だに焼成温度を探っており、未完成なのであります。生み出しの親の長江さんでも、安定した釉薬に調整するのは難しいそうです。

 

 本当に扱いが難しい釉薬ですが、大変魅力に満ちています。第一に、素地の粘土を変えるだけで、その発色が白色と青色になります。ウルトラ・ホワイトと、ウルトラ・ブルーがそうです。非常に興味深いです。第二は、これまでにないマット釉であることです。40年ほど前にもマットな器が流行したそうです。しかし、このウルトラは往時の単調なマットとは異なり、深遠な色調と質感をもつ、言わばモダン・マットであります。第三に、陶器というと貫入による汚れが付きものですが、このウルトラは汚れが目立ちません。マットですので汚れが入りにくいのでしょう。カレー皿なんかにも適しており、自信をもってお奨めできる製品です。

                ウルトラ・ホワイト オーバル(L)

 昨年10月よりスタートしたふるさと納税の返礼品に、上の写真のスープマグ(U・ホワイト)を提供いたしました。初参加にもかかわらず、現時点では藤山の主力商品の粉引や鎬の器を差し置いて、土岐市のランキング上位3位に入っています。これは我々も予想外のことでした。やはり、お客さんを魅了する力を持っているのでしょうか。

 

ふるさとチョイス → https://www.furusato-tax.jp/city/product/21212

                                                      ※土岐市のふるさと納税サイトから転用しております。

                                           ウルトラ・ホワイト 丸マグカップ風花、です。

 何気なく命名されたこのウルトラシリーズですが、もしかすると名実ともに「ウルトラ」になる日が来るかもしれません。そんな可能性があると思っております。まだ知らないお客様は、ぜひ手に取ってその魅力を感じてください。そして、既に使って頂いているお客様、今後ともこのウルトラ製品をよろしくお願い致します。たくさんのお客さんに使って頂きたいと思っておりますが、今現在は藤山の直売と道の駅 志野・織部さん以外からは流通しておりませんので、よろしくお願い致します。